Wunderkammer ** 司書の読書ブログ **

神戸で「なごやか読書会」を主催している羽の個人ブログです。

2023-01-01から1年間の記事一覧

『ある大学教員の日常と非日常』

海外旅行先のトラブルは避けることができない。 わたしもアテネの空港で乗り継ぎの便が予約できていないことがわかったり、ケルンのバスターミナルで乗る予定のバスが現れず結局乗れなかったり、マドリードで数万円をなくしたり、と、いくつもの失敗を重ねて…

『ジャクソンひとり』

直感でビビッときた本は大概おもしろい。本書も例にもれず、ここ最近読んだ小説の中で、ずば抜けていた。 ジャクソンひとり 作者:安堂ホセ 河出書房新社 Amazon 主人公はアフリカと日本のミックスでゲイのジャクソン。彼は職場で、自分らしき人物のポルノ動…

『顔のない遭難者たち』

「移民」と聞くと、暴力や迫害から逃れるために他国からやってきた人々が頭に浮かぶ。しかし、生きている人間だけが移民ではない。 二〇〇〇年から二〇一六年までに、少なくとも二万二千四百人が地中海を渡る途中で命を落とした。大半の遺体は、名もなき移民…