Wunderkammer ** 司書の読書ブログ **

神戸で「なごやか読書会」を主催している羽の個人ブログです。

2019-01-01から1年間の記事一覧

『未来のだるまちゃんへ』

日本が誇る絵本作家・かこさとしさん。『未来のだるまちゃんへ』では、かこさんの生い立ちから始まり、戦時中〜敗戦の経験、大学時代の演劇研究会、社会人時代のボランティア活動、その後の絵本作家としての活動が語られ、これからを生きる子どもたちへのメ…

『センス入門』

自分が好きな本、音楽、アートなどを、人から「センスがいい」と褒められるとうれしい。なぜなら、モノを通してモノを選択した自分を褒められているからである。「それどこで買ったの?」や「その発想はなかった」と言われるのも、「センスがいい」の変形で…

『ゴリラの森、言葉の海』

言葉が通じない生き物を相手にする学者と、言葉で世界を構築しなおす作家。別世界で生きている人同士の対談は、互いが互いを尊重していればなおさら、おもしろいものになる。 前者の山際寿一さんは霊長類学者・人類学者。2014年より京都大学総長をされている…

『選べなかった命 出生前診断の誤診で生まれた子』

今回紹介するのは、第50回大宅壮一ノンフィクション賞及び第18回新潮ドキュメント賞を受賞した『選べなかった命 出生前診断の誤診で生まれた子』。 選べなかった命 出生前診断の誤診で生まれた子 (文春文庫) 作者:河合 香織 文藝春秋 Amazon 本の紹介の前に…

『生命科学クライシス 新薬開発の危ない現場』

とある製薬企業が新薬開発につながる論文を探し、再現しようとした。ところが、論文執筆者たちの協力を得ても、再現できた実験はたったの一割しかなかった。二〇一二年、この「再現性」の問題は『ネイチャー』誌に掲載され、一躍注目を浴びた。ALSの臨床試験…

『未来をつくる図書館』

首都圏ではすでに公開されている映画『ニューヨーク公共図書館 エクス・リブリス』。moviola.jpわたしが住んでいるところでもそろそろ公開されるのですが、それに先立って大阪市立中央図書館で行われたトークイベントに参加してきました。当日、約300人がひ…

『図書館巡礼「限りなき知の館」への招待』

図書館で本を借りると、本の背表紙にだいたい数字が書かれていますよね。図書館によって表示方法は多少ちがいますが、あれは日本十進分類法(NDC)に則った国内共通の図書館本の分類によるもので『図書館巡礼』は010にあたります。010が何を指すかというと「…