Wunderkammer ** 司書の読書ブログ **

神戸で「なごやか読書会」を主催している羽の個人ブログです。

『ジヴェルニーの食卓』

みなさんは西洋絵画に興味がありますか?

有名な画家ならご存じかもしれませんね。ピカソやモネやゴッホルノアール。もしくは大学で西洋絵画を学んだ方なら、ミレーやロセッティといった名前も耳にしたことがあるかもしれません。

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この小説を手にしたきっかけは、友人のある誘いでした。京都市美術館(現・京都市京セラ美術館)でモネ展をやっているから観に行こうと誘われ、当時24歳のわたしは、モネってどんな絵を描く人だっけ?とよくわからないまま足を運びました。


その日、わたしはたくさんのことを知りました。睡蓮、日の出が有名なこと。それらの絵は印象派と呼ばれていること。マルモッタン・モネ美術館から運ばれてきた絵であること。モネは学生の頃、授業中にカリカチュアをよく描いていたこと。晩年は白内障で青色が強く見えていたこと。


友人の影響で原田マハさんの作品を何冊か読んでいたのですが、「ジヴェルニー」という地名は、モネが晩年を過ごしたフランスにある実在する場所だと教えてもらい、モネを好きになりかけていたわたしは、早速『ジヴェルニーの食卓』を読むことにしました。


本書は4つの短編で構成されています。

人生でいちばん辛かったであろう時期に、明るく咲いたマグノリアの花を描いたアンリ・マティス

踊り子たちのポーズの「一瞬」を「永遠」にしようとしたエドガー・ドガ

リンゴひとつでパリをあっと言わせたポール・セザンヌ

そして、せせらぎにたゆたう睡蓮を描いた画家クロード・モネ


マティスを尊敬していた女の子、ドガに恋心を抱いていた女性、セザンヌが通っていた画材屋の娘、モネの絵が心から好きだった義理の娘の4人の視点から描かれた、ちょっぴり切ない4編の物語。

 

まっさらな心のキャンパスを彩られるような、そんな読書体験をしました。

 

紹介本:『ジヴェルニーの食卓原田マハ

著作権の関係上、書影なし)