Wunderkammer ** 司書の読書ブログ **

神戸で「なごやか読書会」を主催している羽の個人ブログです。

『センス入門』

自分が好きな本、音楽、アートなどを、人から「センスがいい」と褒められるとうれしい。なぜなら、モノを通してモノを選択した自分を褒められているからである。

「それどこで買ったの?」や「その発想はなかった」と言われるのも、「センスがいい」の変形である、とわたしは思っている。

「センスがいい」という言葉を使う人もまた、センスがいいと思う。「センスがいい」とストレートに言われたことは今でもはっきり覚えていて、そう言ってくれたの人のことをぐんと好きになった経験があるから、より一層そう思うのかもしれない。

だが、改めて「センスがいい」とは何か、と聞かれると、言葉につまる。そもそもセンスとは何か、ということから考えなくてはならない。さらに、どうしたらセンスが磨かれるのかも知りたい。

というわけで、松浦弥太郎の『センス入門』を読んだ。
f:id:nagoyakabc:20201203142809j:plain
◇センスとは
「何を選ぶか」「どう判断するか」という能力。たくさんの人に幸せを与えられる選択をするちからである。


◇「センスがいい」とは
たくさんの人が好印象を抱く人のことや、「ひらめき」「気づき」が仕事に発展すること。


◇センスの磨き方
みんながいいというものや、誰かがすすめてくれたものは、時間が許すかぎり経験する。経験することで、情報が増え、センスのよさが築かれる。失敗もそのうちの一つだ。その失敗が自分の情報となって、センスを磨いてくれる。また、重要文化財を見たり、プライベートミュージアムでセンスのいいものに触れるという方法もある。


◇結論
結局、センスのよさとは、生きていくことのすべてである。人づきあい、話し方、時間の使い方、お金の使い方、自分の生活も含めて全部にセンスのよさが必要。だから、センスのよさとは、バランス感覚ともいえる。


センスって感覚的なものだと信じて疑わなかったけれど、センスは経験を重ねることによって身につくということは、新発見だった。自ら足を運び、肌で感じたり、物や空間を見る。人が良いというものを、読んだり聴いたりしてみる。そこでたとえ失敗したとしても、繰り返していくと判断力がつく。何事も恐れずチャレンジすることが大事なんだと思った。

紹介本:『センス入門』松岡弥太郎
f:id:nagoyakabc:20210826131959j:plain